映画史を呑みこんだ<ジョーズ>空前の大ヒット!!
本記事はホラー映画『JAWS/ジョーズ』の作品情報、あらすじ、感想と評価、おすすめポイントを紹介しております。ネタバレ?それはとどのつまり主観の相違です。
作品情報
原題 | Jaws |
製作 | 1975年/アメリカ |
レイティング | PG12 |
上映時間 | 124分 |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
出演 | ロイ・シャイダー ロバート・ショウ リチャード・ドレイファス ロレイン・ゲイリー |
あらすじ
アメリカ東海岸の穏やかな観光地アミティ島。そんな町を襲った巨大ホホジロザメの恐怖。観光による利益を優先したばかりに被害が拡大するなか、警察署長のブロディは、漁師のクイントと海洋学者フーパーの力を借り、ついに巨大ザメ退治へと乗り出すのだったが……。
感想と評価
観光地に現れた巨大人喰いザメの恐怖と、それに立ち向かう3人の男たちとの激闘を描いた、すべてのサメ映画の原点ともいえる、言わずと知れた大ヒットアニマルホラーです。
監督はこの4年前に『激突!』を撮った若き日のスティーヴン・スピルバーグで、主演は『恐怖の報酬』(1977)のロイ・シャイダー、共演には『ブラック・サンデー』のロバート・ショウ、『ピラニア3D』のリチャード・ドレイファスなど。
改造、飛翔、霊界、頭部分裂など、良きにつけ悪しきにつけ、今日の多岐にわたるサメ映画の礎を築いた、始祖にして完全体ともいえる、言わずと知れた完全無欠のサメ映画『ジョーズ』。
本作の何が素晴らしいって、はっきり言ってしまうとただのサメを、ちょっと間違って人間を喰ってしまっただけのただのサメを、何か得体の知れないモンスターとして仕立て上げてしまった点にあると思うのですよね。
恐怖の対象である存在の姿をあえて見せないことにより、その存在感を逆に際立たせ、本来の姿以上のバケモノとして演出する。
見えないことによって我々観客は、何かとんでもない奴が、とんでもないことが起こっていると、必要以上に想像力を膨らますのですよね。
これには肝心要のサメロボットが頻繁に故障し、スピルバーグが当初構想していたとおりの撮影ができなかったという、結果オーライ的な要素も確かにあるのですが、結果良ければすべて良し、これによってB級臭いアニマルパニックになりそうなものが、ヒッチコック的なA級スリラーへと変貌したのですから。
ある種の制約の中でこそ本来の才能が覚醒する、そういう事例の典型ではないでしょうか。
恐怖の対象をなかなか見せないことによる、観客の想像力を刺激する演出も本当に巧みなのですが、実際のサメが登場してからの実存的絶望感も相当なもので、しかもこれがまた、無駄な焦らしやスルーを挟まない、「ここや!」という絶妙のタイミングを心得た登場のさせ方で、ジョン・ウィリアムズによるあのテーマ曲とのシンクロ率もヤバすぎます。
娯楽監督の仮面を被った残虐大王でもあるスピルバーグの、女子供にもまったく容赦しない残虐描写の数々には心が洗われるようでしたし、圧倒的実存感を誇示した巨大ザメへと無謀な戦いを挑む、三者三様のキャラクターも立ちまくりで、海洋冒険譚としての高揚感にも胸がドンドコ高鳴ります。
つまりは極上のホラーでありながら、一級のエンターテインメントでもある、長い映画史の中でも他に類を見ない稀有な傑作で、本当にサメ映画の始祖でありながら完全体であるという表現に、一切の粉飾はございません。
ネタ合戦、ボケ合戦と化した現在のサメ映画に食傷を覚えたら、原点にして完璧を極めた本作を鑑賞し、きれいさっぱり憑き物を落としたうえで、また狂ったサメたちが跋扈する大海原へと漕ぎ出してみるのも一興かと思いますよ。
恐怖度:
グロ度:
面白さ:
総合評価:S
おすすめポイント
DVD&Blu-ray
VOD/動画配信
『JAWS/ジョーズ』が配信されているVODはこちら(2023年2月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。
予告編動画
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