殺人・自殺・火災による死亡事故等があったいわくつきの部屋に1人の芸人が住んでみた、実話。
作品情報
製作 | 2020年/日本 |
レイティング | G |
上映時間 | 111分 |
監督 | 中田秀夫 |
出演 | 亀梨和也 奈緒 瀬戸康史 江口のり子 |
あらすじ
売れない芸人の山野ヤマメ。コンビを解散して途方に暮れるヤマメだったが、旧知の番組プロデューサーから「事故物件に住んで心霊現象を撮影する」という企画が持ち込まれ、売れたい一心からこの企画を受けることに。その日からヤマメの周囲で、不可解な現象が頻発し出すのだった……。
感想と評価
テレビの企画で前の住人が不慮の死を遂げた部屋、いわゆる「事故物件」に住み続けた芸人、松原タニシの恐怖の実体験を映像化した心霊ホラーです。
監督は『女優霊』や『リング』はもはや遠い昔、というか「本当にそんな映画撮ったっけ?」とも思える中田秀夫で、主演は『映画 妖怪人間ベム』の亀梨和也、共演には『#マンホール』の奈緒、『貞子3D2』の瀬戸康史、『“それ”がいる森』の江口のり子など。
売れたい一心で事故物件に住むことになった芸人が、それぞれの事故物件で体験する怪異と、その反響による芸人としての成功、その過程で彼の身に迫る危機を案じる霊感少女とのメロドラマが、水と油のごとくまったく溶け合わず、ふと気がついたら陰陽師的な呪術バトルが展開されている、文字通りの事故物件映画です。
あえて事故物件に住むという頭のおかしいコンセプトは面白く、我々の日常にもふと紛れ込んでいるような恐怖を軸とした、正統派の心霊映画として勝負しても良かったとは思うのですが、最初からその気がないというかなんというか、怖がらせることを放棄してますよね、この映画。
亀梨和也をキャスティングした時点で、そりゃガチのホラー路線は消えたと思うのですが、じゃあどっちに進むんだという舵取りが、あっちにフラフラこっちにヨロヨロ迷走しており、ホラーでも、サクセスストーリーでも、メロドラマでも、コメディでもない、何やら得体の知れない異物と化していることがこの映画最強の恐怖なのかも。
とりわけドラマ部分の薄気味悪い古臭さは鳥肌レベルの事故物件で、いま自分は何を見ているのか、何を見せられているのか、皆目わからず途方に暮れてしまいます。
ホラー映画にドラマ的な深み、ラブストーリー、コメディ的要素を挿入していくのは十分アリなのですが、ここまでの見当違いを見せられたのは久しくなかったような気もします。
それはホラー映画としての恐怖描写にもいえることで、全体的にわかりやすいかたちで見せすぎているというか、日本的な古き良き幽霊の奥ゆかしきおもてなしがアメリカナイズされてしまっており、日本的風土で怖さを発揮するのはなんなのかという事実を、もはや中田秀夫は忘れて久しいのでしょう。
軽いエンタメとしてホラーを撮る。
それならそれで、軽くてもエンターテインメントとしてもっとまっとうに面白い映画を撮ってほしいのですけどね。
おすすめポイント
DVD&Blu-ray
VOD/動画配信
『事故物件 恐い間取り』が配信されているVODはこちら(2023年1月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。
予告編動画
(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会