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カリガリ博士

ホラー映画『カリガリ博士』の画像

異常な博士が起こすサイコ殺人劇の頂点

前置き

本記事はホラー映画『カリガリ博士』の作品情報、あらすじ、感想と評価、おすすめポイントを紹介しております。ネタバレ?それはとどのつまり主観の相違です。

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作品情報

原題Das Cabinet des Doktor Caligari
製作1920年/ドイツ
レイティングG
上映時間71分
監督ロベルト・ヴィーネ
出演ヴェルナー・クラウス
フリードリッヒ・フェーヘル
コンラート・ファイト
リル・ダゴファー

あらすじ

フランシスという名の男が語る、彼が体験した世にも奇妙な物語。オランダ国境に近い北ドイツ、カリガリ博士と名乗る興行師による見世物小屋を訪れたフランシスとその友人は、未来を予言するという眠り男に占ってもらい、友人が死の宣告を受ける。「まさか」と思ったふたりだったが、翌朝、予言どおりに友人が他殺体として発見されるのだった……。

感想と評価

あるひとりの男が語る、謎の怪人カリガリ博士と、その忠実なしもべである夢遊病患者のチェザーレが引き起こす、呪われた連続殺人の顛末を描いた、ドイツ表現主義の代表的作品である古典的サイコスリラーです。

監督はドイツ表現主義を代表する映画監督『ゲニーネ』のロベルト・ヴィーネで、主演は『裏町の怪老窟』のヴェルナー・クラウス、共演にはのちに監督としても活躍する『マタ・ハリ』のフリードリッヒ・フェーヘル、『笑ふ男』のコンラート・ファイトなど。

F・W・ムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』と並ぶ、ドイツ表現主義の代表作にしてホラー映画の始祖ともいえるサイレント映画で、いま観て本当に面白いかどうかは意見が分かれるところでしょうが、お勉強の意味も含めて、ホラー映画好きなら観ておくべき作品だということは確実にいえるでしょう。

どこか夢うつつなフランシスという青年が語る、「世にも奇妙な体験談」という回想形式で、怪人カリガリ博士と、そのしもべである眠り男チェザーレが引き起こした、猟奇的な連続殺人の顛末を描いた本作。

セリフなしのサイレント映画ということで、ハリウッドザコシショウさながらに誇張された演技で状況と感情を伝えてくる大根芝居は、悲劇というよりかはどこか喜劇のような様相で、リアルでナチュラルな演技に慣れ親しんだ我々には、一見すると珍妙なものに映るかもしれません。

そういう意味ではこの物語、殺人事件にホラー的な怖さは正直感じないのですが、そのザコシ的な珍妙な状況を彩る舞台美術がこれまたさらなる誇張ぶりで、おそらくはオールセットで撮影された美術セットそのすべてが、奇妙に捻じれて、歪んで、尖りまくった、まるで異世界のような禍々しさなのですよね。

正直この奇抜なセット美術を見るだけでも十分に価値がある作品で、本音を言うと「これぐらいしか見る価値あれへんなぁ」とも思っていたのですが、さすがはホラー映画の始祖、これで終わるはずはもちろんありませんでした。

ネタバレになるので多くは語りませんが、ザコシ的な誇張演技、平衡感覚が歪んだ世界観、突飛な連続猟奇殺人、これらすべては用意周到な伏線であり、何もかも天然の産物ではなく計画的に行われた演出だったのですよね。

これにはわたくしさすがに唸り、恐怖しました。

あの映画や、この映画や、その映画の元ネタはこれやったんか!」と。

正直、いまの感覚で観たらけっこうしんどいところもあって、「面白い!傑作!」と単純に言えない部分も確かにあるのですが、ホラー映画の始祖、サイコスリラーの原点としての衝撃は十二分に備えており、やはりホラー映画好きであれば一度は観ておくべき作品だと思います。

映画の構造だけではなく、さまざまな部分で後世の映画、作家へと与えたであろう影響が見て取れて、それらを探すだけでもけっこう楽しいもんなんですよ。

HORROR-BAKKA的評価

恐怖度:3.0
グロ度:1.0
面白さ:3.0

総合評価:B

おすすめポイント

『カリガリ博士』のおすすめポイント
  • オールセットで撮影された美術の平衡感覚が危うくなる摩訶不思議な世界観にめまいを起こせ!
  • カリガリ博士がカリガリ博士として覚醒した瞬間のカリガリの連呼に刮目せよ!
  • あの映画やこの映画の元ネタになったであろう本作の構造が明かされる結末は衝撃度二重丸!

DVD&Blu-ray

VOD/動画配信

カリガリ博士』が配信されているVODはこちら(2023年2月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。

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