2023年にここ日本で公開されるホラー映画の中から、個人的に「これは見逃せない!」と思ったおすすめホラー映画を、月ごとにリストアップしてみました。
予告編動画、作品情報、簡単なあらすじから見どころ、注目ポイント、期待度などを、あまたのホラー映画によって毒された腐った脳髄によって書きしたためていきますので、血と臓物が飛び交う狂乱を待ち望むあなたの、素敵なホラー映画ライフのささやかな指標にでもしていただけたら幸いです。
2023年1月公開ホラー映画
スランバー・パーティー大虐殺
作品情報
1982年/アメリカ/77分/R15+
監督:エイミー・ジョーンズ
出演:ミシェル・マイケルズ/ロビン・スティル
スラッシャー映画の“バイブル”遂に日本初上陸!
両親が留守になる週末を狙い、女だけのパジャマパーティを開催した高校の女子バスケットボールチームを襲う、巨大電動ドリルを手にした凶悪殺人鬼による恐怖を描いた、40年越しの日本初上陸となる伝説的スラッシャーホラーです。
「スラッシャー映画のバイブル」なんて言われてますが、『ハロウィン』や『13日の金曜日』以降に作られた作品ですのでちょいと誇大広告では?なんて思うものの、予告編からにじみ出ている古き良き香り漂う往年のスラッシャー臭はなんともかぐわしいですし、殺人鬼の得物が『ボディ・ダブル』を彷彿とさせる電動ドリルというところもポイント高し。
監督は『レリック』の脚本などを務めた女性監督エイミー・ジョーンズで、脚本を担当するのはフェミニスト作家として知られるリタ・メイ・ブラウン。クレジットはありませんが「B級映画の帝王」ロジャー・コーマンによる製作です。
2023年1月6日公開
非常宣言
作品情報
2022年/韓国/141分/G
監督:ハン・ジェリム
出演:ソン・ガンホ/イ・ビョンホン
それぞれの選択が運命を決める
仁川(インチョン)発ハワイ行きの航空機内を舞台に、薄ら笑いのキチガイによってばら撒かれた謎のウィルスによって、混乱と恐怖の乱気流へと呑み込まれていく人々の極限下における選択を描いた、韓国発のスカイパニックスリラーです。
逃げ場のない高度28000フィートの密室で、ハワイに浮かれた老若男女を突如として襲うバイオテロの恐怖。極限状態における空と地上、それぞれの当事者たちが迫られる選択と決断のスリリングさが、予告編の時点で大量に漏れ出しておりますし、『新感染 ファイナル・エクスプレス』のような泣ける家族のドラマにも期待できそうな予感。
監督は『ザ・キング』のハン・ジェリムで、『グエムル -漢江の怪物-』のソン・ガンホと、『悪魔を見た』のイ・ビョンホンが地上と空のW主演を務めております。『ハウスメイド』のチョン・ドヨン、『クローゼット』のキム・ナムギルなど、脇も非常に豪華な布陣。
2023年1月6日公開
キラーカブトガニ
作品情報
2021年/カナダ/80分/R15+
監督:ピアース・ペロルゼイマー
出演:カート・カーリー/ロバート・クレイグヘッド
奴らは海からやってきた!
廃炉となった原発が爆破処理された海辺の町を舞台に、放射能の影響で凶暴化、さらには巨大化した日本の天然記念物カブトガニ(本作に登場するのは北アメリカに生息するアメリカカブトガニ)が、浜辺で浮かれる全裸美女を踊り喰いしてもう町は大混乱に!という海洋モンスターパニックです。
もはやあらすじの時点で最高です。マイナーキャラともいえるカブトガニを主役に据え、それを巨大化させて荒れ狂わせ、人を、町を、世界を破滅させてしまおうなんて最高の最高ではありませんか。「サメの時代は終わった」「人肉を食らう生きた化石」なんてイカしたキャッチコピーにもそそられます。
監督は本作が長編デビュー作となるピアース・ペロルゼイマーで、製作・監督・脚本・編集を兼任し、なんと撮影開始から6年もの歳月をかけて完成させた入魂のデビュー作。カブトガニの造形がひたすらクールな期待作ですね。
2023年1月20日公開
ピンク・クラウド
作品情報
2020年/ブラジル/103分/PG12
監督:イウリ・ジェルバーゼ
出演:ヘナタ・ジ・レリス/エドゥアルド・メンドンサ
その雲に触れたら10秒で死ぬ
突如として世界中の空を覆った、触れた人間を10秒で死へと至らしめるピンクの雲。予期せぬ外出制限(ロックダウン)によって、昨日まで他人だった男女が望まぬ同居人となり、家族となったとき、ピンクの日常は徐々に歪み始めていくという、ブラジル発のSFスリラーです。
ピンクの毒雲の襲来により、家から一歩も出られなくなったロックダウン。本作の脚本は2017年に執筆され、2019年に撮影が開始されたので、現在のコロナ禍を反映したものではなく、非常にタイムリーな予言なのであります。それが底上げとなるのか、それとも足枷となるのか、ピンクはやはりショッキングでなくてはなりません。
監督はこれまで6本の短編を手がけてきた新人のイウリ・ジェルバーゼ。ちなみにCharの在籍した日本のロックバンド、「ピンククラウド」とはなんの関係も関連もありゃしません。
2023年1月27日公開
その他の1月公開ホラー映画
『殺人美容師 頭の皮を剥ぎ取ります』 ある欲望に憑かれた美容師の凶行を描いたヘアカットスリラー。邦題がちょっと頭おかしくてイカしてますよね。 | |
『地縛霊 5階の女』 廃病院のエレベーターは恐ろしい闇の世界への入り口だったという、ちょっと珍しいベトナム発のホラー映画です。 | |
『CONTROL コントロール』 ソリッドシチュエーションスリラーに超能力アクションを掛け合わせた作品で、あなたの予想は必ず裏切られるんですって。 | |
『VIRUS/ウィルス:32』 人肉喰ったあとは32秒間動きが止まる、謎のボーナス設定が興味を惹くウルグアイ発の新感覚ゾンビホラーです。 | |
『アブソリュート/服従者』 キチガイ大学教授によって拉致監禁された女性たちの驚愕の運命を描いたサイコスリラー。意外とドラマティックなんて噂も。 | |
『マンイーター:捕食』 楽園でのバカンスを楽しむ男女を襲う捕食者の脅威を描いた、新たなかどうかはわかりませんがいわゆるサメ映画です。 | |
『ファミリー・プレイ』 誘拐されて見知らぬ家族の「娘」となった少女のサバイバルを描いたサイコロジカルスリラーです。 | |
『編集霊 deleted』 霊が映り込んだ映像をカットしたことから不可解な連続殺人に巻き込まれていく映画スタッフの恐怖を描いた心霊ホラーです。 | |
『迷霊怪談集』 3つの都市伝説を交錯させたベトナム発の大ヒットアンソロジーホラー。日本の怪談話にも通じるものがあるのですかね? |
2023年2月公開ホラー映画
FALL/フォール
作品情報
2022年/イギリス、アメリカ/107分/G
監督:スコット・マン
出演:グレイス・フルトン/ヴァージニア・ガードナー
ようこそ、地上600mの絶望へ
フリークライミング中に最愛の夫を亡くした女性が、親友の励ましから現在は使われていない超高層テレビ塔へのクライミングに挑戦するものの、老朽化した梯子が崩れ落ち、ふたりは地上600メートルの高所に取り残されてしまうという、絶体絶命の窮地を描いたサバイバルスリラーです。
最愛の夫を亡くして落ち込む親友を励ますため、「地上600メートルのテレビ塔に登ろうよ!」と提案する精神構造がそもそも理解しかねますが、登ってしまったものは仕方がないので、食料も、電波も、充電も、救助もナッシングな、極上の高所サバイバルをお股をヒュンッといわせながら堪能いたしましょうぞ。
監督は『MARA/マーラ』の製作と編集を務めたスコット・マンで、主演は『アナベル 死霊人形の誕生』のグレイス・フルトンと、『ハロウィン』(2018)のヴァージニア・ガードナー。脇を『ポゼッション』(2012)のジェフリー・ディーン・モーガンが固めます。
2023年2月3日公開
呪呪呪 死者をあやつるもの
作品情報
2021年/韓国/110分/G
監督:キム・ヨンワン
出演:オム・ジウォン/チョン・ジソ
運命は、呪術で切り拓く。
閑静な住宅地で発生した凄惨な殺人事件。その背後でうごめく大企業の陰謀と、強大な呪いによって復活したゾンビ軍団を叩きつぶすため、事件の真相を追うジャーナリストのジニは、強力な助っ人である呪術師のソジンを召喚するという、韓国発のアクションゾンビホラーです。
頭巾姿のゾンビ軍団が披露する一糸乱れぬ全力疾走に、呪術を操る美少女が果敢にも立ち向かっていく姿には、いい年こいたおじさんも燃えて萌える要素が多分に含まれており、手に汗握りながらソジンちゃんを応援してしまうことは必至でありましょう。
監督は『ファイティン!』のキム・ヨンワンで、主演は『感染家族』のオム・ジウォンと『パラサイト 半地下の家族』のチョン・ジソ。脚本を手掛けたのは『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ。『呪呪呪(じゅじゅじゅ)』ってタイトルが「じぇじぇじぇ」的で相当ダサいのが少々気がかりではあります。
2023年2月10日公開
ボーンズ アンド オール
作品情報
2022年/イタリア、アメリカ/130分/R18+
監督:ルカ・グァダニーノ
出演:テイラー・ラッセル/ティモシー・シャラメ/マーク・ライランス
愛は、血の味がした。
生まれながらにして人を食べる衝動を抑えられない18歳の少女が、初めて自分と同じ宿命を背負った少年と出会い、必然的に惹かれ合っていったことから、危険な逃避行へと身を投じていく姿を描いた、ヴェネツィア国際映画祭で二冠に輝いた純愛ホラーです。
『RAW 少女のめざめ』をちょっと彷彿とさせるようなあらすじで、人喰いの青春、純愛、そして逃れられない宿命を、ルカ・グァダニーノらしいアート路線で描いたとおぼしき内容ですが、レイティングがR18+に指定されているのはなにげにポイント高いですよね。
監督はリメイク版『サスペリア』のルカ・グァダニーノで、主演は『エスケープ・ルーム』のテイラー・ラッセルと、『DUNE/デューン 砂の惑星』のティモシー・シャラメ。ヴェネツィア国際映画祭でグァダニーノが銀獅子賞(監督賞)、ラッセルがマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)に輝いております。
2023年2月17日公開
呪餐 悪魔の奴隷
作品情報
2022年/インドネシア/119分/G
監督:ジョコ・アンワル
出演:タラ・バスロ/エンディ・アルフィアン
おぞましき狂気の儀式が始まる――
1984年のインドネシア・ジャカルタ北部を舞台に、わずか数年で2000人もの犠牲者を出した連続殺人が世間を賑わすなか、孤立したアパートで無数の死体と一夜を過ごすことになった住人たちが体験する恐怖を描いた、インドネシア発のオカルトホラーです。
1980年代にイスラム教圏で最も怖いホラー映画として話題をさらった、『夜霧のジョギジョギモンスター』(なんちゅう素晴らしい邦題!)をリメイクし、2017年のインドネシア観客動員ナンバー1メガヒットを放った『悪魔の奴隷』。その続編としてふたたびメガヒットを記録したのが本作『呪餐 悪魔の奴隷』というわけ。
オリジナルも前作も未見ですのでよくわかりませんが、イスラム教におけるオカルト的超常現象の描き方には興味を覚えますし、何より予告編で聞こえてくるインドネシア語がもうすでに怖いですよね。監督は前作に引き続き『グンダラ ライズ・オブ・ヒーロー』のジョコ・アンワルが担当。
2023年2月17日公開
その他の2月公開ホラー映画
『ジョーズ・バケーション』 バカンス先で海へと投げ出された夫婦のサバイバルを描いた、もはや新しいのかどうかもわからないサメ映画です。 | |
『ベニー・ラブズ・ユー』 断捨離されたぬいぐるみが意思をもって無邪気に人を殺しまくるホラーコメディ。ホラー版の『トイ・ストーリー』ですかね? | |
『ユー・アー・ノット・マイ・マザー』 謎の失踪から帰還した母親は、もう元の母ではない別の何かにへんげしていたという昨今ブームなフォークホラーです。 | |
『#マンホール』 マンホールに落っこちたざまーみろイケメン野郎の苦闘を描いたシチュエーションスリラーです。二度と出てくんな。 |
2023年3月公開ホラー映画
ホーリー・トイレット
作品情報
2021年/ドイツ/90分/PG12
監督:ルーカス・リンカー
出演:トーマス・ニーハウス/ギデオン・ブルクハルト
目覚めたらトイレ。爆発まで34分。
頭部を負傷して意識を失った建築家のフランク。目覚めてみたらなぜか仮設トイレの中で、右腕には鉄筋が突き刺さっており、トイレの周囲には爆破用のダイナマイト、そのタイムリミットは34分後の午後2時ジャストという、ドイツ製作による異色のシチュエーションスリラーです。
なんかもうあらすじの時点でわけがわかりませんが、34分後に粉々に爆破されるトイレの中で目覚めた男が、大便ひり出す暇もなく必死にもがき苦しむ新感覚脱出バキュームスリラーということで、予告編観てもわけわかりませんが、わけわからんからこそメチャクチャ面白そうです。
監督を務めるのは新人のルーカス・リンカーで、世界各国の映画祭に出品されて観客賞や特別賞を受賞した、期待の大型新人といったところでしょうか。
2023年3月3日公開
デスNS/インフルエンサー監禁事件
作品情報
2020年/カナダ/90分/G
監督:ジェイミー・ベイリー
出演:マリー・ルチアーニ=グリマルディ/サイモン・フィリップス
バズるか、死か。
SNSのフォロワー数が40万人を超える人気インフルエンサーのケリー。謎の男によって拉致監禁された彼女は、男から過酷な要求を次々と突きつけられ、できなければ殺す、拒否すれば別の女を殺すと脅されるという、現代的なSNSソリッドスリラーです。
1時間で1000「いいね!」、今度は2時間で1万「いいね!」と、真っ赤なチアコスで浮かれたインフルエンサーを、「指切り」やら「腎臓とったどー!」で追い詰めていく監禁男の心情は、人気インフルエンサーと呼ばれる連中に対する我々の本音を、代弁しているのかしていないのか。
監督のジェイミー・ベイリーは脚本・撮影・編集の4役をこなし、『ゲヘナ』や『人肉村』で知られるサイモン・フィリップスが主演と原案を担当しております。
2023年3月10日公開
エスター ファースト・キル
作品情報
2022年/アメリカ/99分/R15+
監督:ウィリアム・ブレント・ベル
出演:イザベル・ファーマン/ジュリア・スタイルズ
また、会えるね。
オルブライト家の一人娘エスターが行方不明になってから4年後。奇跡的に発見され、我が家へと帰ってきたエスターだったが、4年ぶりに戻ってきた彼女は昔と何かが違っていたという、大ヒットホラー映画『エスター』の前日譚を描くサイコスリラーです。
「おすすめどんでん返し映画」なんて記事では必ずと言っていいほどノミネートされている、超有名どんでん返しスリラー『エスター』待望の続編で、見た目は子供、中身はキチガイなエスター誕生の瞬間、「はじめてのおつかい」ならぬ「はじめてのさつじん」を描いた本作。今度はどんな手を使って我々を驚かしてくれるのでしょうかね。
監督は『ザ・ボーイ ~人形少年の館~』のウィリアム・ブレント・ベルで、主演は前作に引き続き『エスケープ・ルーム2:決勝戦』のイザベル・ファーマン。23歳になった彼女がCGや特殊メイクを用いずに再びエスターを演じているのですが、予告編でも若干チラつくこの違和感が、吉と出るのか凶と出るのか。
2023年3月31日公開
その他の3月公開ホラー映画
『三茶のポルターガイスト』 東京は三軒茶屋にある心霊スポットに潜入し、数々の心霊現象をカメラに収めた心霊ドキュメンタリーです。 |
2023年4月公開ホラー映画
ノック 終末の訪問者
作品情報
2023年/アメリカ/100分/G
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:デイヴ・バウティスタ/ジョナサン・グロフ
その選択の結末は、家族の犠牲か、世界の終焉か。
2023年4月7日公開
ダークグラス
作品情報
2022年/イタリア、フランス
監督:ダリオ・アルジェント
出演:イレニア・パストレッリ/アーシア・アルジェント
2023年4月7日公開
ハロウィン THE END
作品情報
2022年/アメリカ/111分/R15+
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
出演:ジェイミー・リー・カーティス/アンディ・マティチャック
恐怖が、壮絶に、終わる。
2023年4月14日公開
ベネシアフレニア
作品情報
2021年/スペイン/99分/R15+
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
出演:イングリッド・ガルシア・ヨンソン/シルビア・アロンソ
この憎しみは殺戮でしか癒せない
2023年4月21日公開