世界を犯す、騒がしい絶望。
本記事では映画『CUBE』の作品情報、あらすじ、感想と評価、おすすめポイントを紹介しております。ネタバレ?それはとどのつまり主観の相違です。
作品情報
原題 | Cube |
製作 | 1997年/カナダ |
レイティング | G |
上映時間 | 91分 |
監督 | ヴィンチェンゾ・ナタリ |
出演 | モーリス・ディーン・ウィン ニコール・デ・ボア デヴィッド・ヒューレット ニッキー・グァダーニ |
あらすじ
奇妙な立方体(CUBE)の内部で目を覚ました6人の男女。いつ、誰によって、なぜ連れてこられたのか、誰ひとりとして知る者はいなかった。CUBEの上下左右にはハッチがあり、隣のCUBEへの移動が可能ではあったが、いくつかの部屋には恐ろしい殺人トラップが仕掛けられていたのだった……。
感想と評価
同じようなCUBE(立方体)が幾重にも連なる謎の構造物に閉じ込められた、6人の男女の決死の脱出劇と不協和音を描く、元祖ワンシチュエーションスリラーです。
監督は『スプライス』『ハウンター』のヴィンチェンゾ・ナタリ。
シチュエーションスリラーの金字塔『ソウ』、電話ボックス内で窮地へと陥る『フォーン・ブース』、目が覚めてみたら箱の中だった『[リミット]』などなど、限定空間に閉じ込められた人間の右往左往を描いたワンシチュエーションスリラーの走りといえば、やはり本作『CUBE』となるでしょうか。
いつ、誰に、なぜ連れてこられたのかわからない謎のCUBE内で目覚めた6人の男女が、死のトラップをかいくぐりながら、血眼でCUBEの解法を、脱出経路を探る過程で見せつけてくる人間的暗部。
この手の作品の走りとしては、その醍醐味を見事なまでに網羅した完璧ともいえる構成で、突飛な限定的設定、その謎へと迫っていくカタルシス、限られた予算で見せるグロ描写、極限状態でやがて崩壊していく人間関係など、後続作品の雛形となったといっても過言ではないでしょう。
そして何よりこの作品が際立っていたのは程よい余白の存在。
すべての謎が解き明かされるのもそれはそれで映画的カタルシスなのですが、より高みを目指すのならばやはり余白の設定が必須で、これがあることによって鑑賞後の考察と拡散を促すことができるのです。
それが本作をカルト化させた最大要因で、実はその余白自体に意味はなくても問題はなく、秀逸な設定のなかにただ余白を忍ばせるだけでいいのですよね。
その余白の意味は我々バカが足りない頭で考えるだけのこと。
な~んて身も蓋もないことは、寅さん曰く「それを言っちゃあおしまいよ」なんですけどね♡
おすすめポイント
- 謎のCUBEに閉じ込められた男女という設定を考え出した時点でまさにアイデアの勝利!
- あらためて観返すとけっこうアホらしい人間模様もクスクス笑いながらもスリリング!
- ページの余白を埋めるのは、あなたと私とお前らの仕事なのよ♡
リメイク版
「なぜいまさら?」という突然のタイミングで、『CUBE』のリメイク版がなんと我が日本で製作され、2021年の10月に公開されることが発表されました。
この知らせを受け取った大多数のホラーファンは私と同じ感情をいだいたことでしょう。
悪い予感しかしねぇ……。
DVD&Blu-ray
VOD/動画配信
『CUBE』が配信されているVODはこちら(2021年2月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。
本編動画クリップ
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