死のトラップ迷宮。生きて出られるか。
本記事はホラー映画『CUBE 一度入ったら、最後』の作品情報、あらすじ、感想と評価、おすすめポイントを紹介しております。ネタバレ?それはとどのつまり主観の相違です。
作品情報
製作 | 2021年/日本 |
レイティング | G |
上映時間 | 108分 |
監督 | 清水康彦 |
出演 | 菅田将暉 杏 岡田将生 田代輝 斎藤工 吉田鋼太郎 柄本時生 |
あらすじ
ある日、奇妙な立方体の中で目覚めた6人の男女。立方体の6面にはそれぞれ扉が存在し、その向こう側にも同じような立方体が際限なく続いていたが、そのいくつかには恐ろしい殺人トラップも仕込まれていた。理由も、目的も不明のまま、不条理な状況へと放り込まれた6人の男女は、なんとか協力して出口を探すのだったが……。
感想と評価
殺人トラップが仕掛けられた謎の立方体(CUBE)に閉じ込められた、6人の男女の決死の脱出劇を描く、1997年に公開されてカルト的人気を博したカナダ映画の『CUBE』を、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督公認のもと、日本人キャストによって完全リメイクしたシチュエーションスリラーです。
監督は『MANRIKI』の清水康彦で、主演は『キャラクター』の菅田将暉、共演には『プラチナデータ』の杏、『さんかく窓の外側は夜』の岡田将生、『雑魚どもよ、大志を抱け!』の田代輝、『シン・ウルトラマン』の斎藤工、『カイジ ファイナルゲーム』の吉田鋼太郎など。
オリジナルの『CUBE』は、今日も続くソリッドシチュエーションスリラーの礎となったような傑作でして、そのリメイクがここ日本で監督公認のもと製作されると聞いたときは、そりゃもう全身全霊で「やめとけ!」と叫んでしまいましたね。
私の忠告も聞かずに作られてしまったものは仕方がないので、底抜けに低い期待値で本作を恐る恐る鑑賞してみたのですが、思っていたほどは底の抜けていない無難ともいえるリメイク作で、ちゃんと最後まで観続けることができたのは意外な朗報ですよ。
まあとりあえずは観られたというだけで、映画として、リメイクとして良く出来ていたのかといったらもちろんそんなはずはなく、要所要所できっちりとやらかしてくれております。
はっきり言ってしまうと、オリジナルにはない要素、本作独自の設定やら変更やらがことごとくいらない要素でして、単純にトレースしただけのリメイクなんてそりゃゴミなのですが、良かれと思って付け足したパーツのすべてが不良品ときては、「余計なことをするな!」と一喝したくなる気持ちも理解していただけるかと。
最も不要な要素はドラマ、主人公のトラウマを軸とした湿っぽいドラマにありまして、不条理なドライさが売りだったともいえるシチュエーションスリラーが、日本的なウエットさによるお涙頂戴道徳話へと変貌してしまっていたのは、改悪以外の何ものでもないでしょう。
それがまだきちんと機能していたら救いもあったのですが、スリラーとしての緊張感をぶつ切りにし、物語を完全に停滞させるだけの役割しか果たしておらず、しかもこのドラマというか個々の問題を、CUBEの目的と関連付けてしまっていたのが最悪です。
オリジナル『CUBE』の怖さや面白さの本質とは、つまるところ「わからない」ことに尽きると思うのですよね。
結局何もわからないし、何も解決しない、大きな余白が、見つからないピースがあるからこそのカルト化だったのに、このリメイク作ではそのすべてに勝手な理由を付けようとしており、余計なお世話にも程があります。
その最たる例が杏の演じる「甲斐麻子」というキャラクターでしょうね。
ネタバレになるので多くは語りませんが、っていうかネタバレしなくてもたぶんすぐわかるとは思いますが、本当にキャラ的にも設定的にも必要性が感じられない、ただの粗大ゴミでした。
まあ俳優として本当に粗大ゴミだったのは、何をやってもワンパターンな舞台演技しかできない吉田鋼太郎……ってところで自重しておきますかね(もう手遅れかしら?)。
恐怖度:
グロ度:
面白さ:
総合評価:C
おすすめポイント
DVD&Blu-ray
VOD/動画配信
『CUBE 一度入ったら、最後』が配信されているVODはこちら(2023年1月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。
予告編動画
(C)2021「CUBE」製作委員会