奇妙な息づかいが聞こえたら―決して振り返らないで!
本記事では映画『ハロウィン』(1978)の作品情報、あらすじ、感想と評価、おすすめポイントを紹介しております。ネタバレ?それはとどのつまり主観の相違です。
作品情報
原題 | Halloween |
製作 | 1978年/アメリカ |
レイティング | G |
上映時間 | 90分 |
監督 | ジョン・カーペンター |
出演 | ジェイミー・リー・カーティス ドナルド・プレザンス |
あらすじ
1963年のハロウィンの夜に、わずか6歳で姉を惨殺した少年マイケル・マイヤーズ。15年後のハロウィン、収容されていた精神病院を脱走したマイケルは故郷ハドンフィールドへと舞い戻り、新たな獲物、高校生のローリー・ストロードを付け狙うのであった……。
感想と評価
ハロウィンの夜に闇からのそりと現れて、盛りのついたガキどもに童貞による怒りの鉄槌を下す純粋殺人鬼、“ブギーマン”ことマイケル・マイヤーズのやる気満々を描いたスラッシャー映画の金字塔です。
監督は本作によってインディペンデント映画最大のヒットを飛ばした『遊星からの物体X』のジョン・カーペンターで、主演は『ザ・フォッグ』『プロムナイト』などの「絶叫クイーン」ジェイミー・リー・カーティスに、『悪魔の植物人間』のドナルド・プレザンス。
「スラッシャー映画、スプラッター映画の元祖!金字塔!」みたいに扱われている映画ですが、私は正直なところ、初見ではいまいち面白く感じなかったんですよね。
1980年代のヤクザなホラー映画を観て嬉々として育った私には、直接的な残酷描写を避けている本作はどうにも大人しく、物足りないものに感じたのです。
でも大人になったら本作の面白さ、恐ろしさ、そして何より芸術性がめちゃくちゃ理解できるようになったんですよね!
そう、本作『ハロウィン』の肝は、殺人鬼によって惨殺される被害者の阿鼻叫喚、ストレートな残酷表現にあるのではなく、そこへと至るまでの様式美的演出の数々にこそあるのです。
はっきり言って残酷描写はヌルいですよ。
しかしそこへと至るマイケルの道程、とりわけ非常に意識的な視線の演出が絶妙で、それは冒頭の一人称視点による初めての殺人から一貫して顕著であり、見ている、または見られているという感覚のなかで醸成される、興味と、不安と、恐怖の高鳴りがドンドコ踊り出すのです!
そんな踊り狂いをさらにかき立てる、ジョン・カーペンター自身の手による反復するアナログシンセ、マイケル・マイヤーズのすべての理解をシャットアウトする純粋殺人鬼描写、思春期の性への目覚めなども含め、どこか幻想的かつ悪夢的な雰囲気を醸し出しているのも秀逸で、そう、本作『ハロウィン』は変態にとっての美しくも残酷な夢でもあるのです。
そんな夢へと耽溺できるかどうかが、本作にハマるかどうかの分かれ目ですかね?
ちなみに異例の大ヒットによってバカみたいな続編が大量に作られたシリーズですが、そんな雨後のバカどもをすべて駆逐し、純粋かつ正統なる続編が40年後の2018年に作られておりますので、どうぞそちらも併せてのご鑑賞を。
ローリーとマイケルとのリターンマッチに燃えて萌えるのは確実なのよ♡
おすすめポイント
- 惨劇の前兆、予兆としての視線演出に見る芸術的なまでの不穏な美しさ!
- カーペンター自身による反復するテーマ曲の痺れるカッコよさ!
- 永遠に終わらない悪夢を予感させる見事なまでのラストショット!
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予告編動画
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