恐怖は、進化する。
作品情報
原題 | Halloween Kills |
製作 | 2021年/アメリカ |
レイティング | R15+ |
上映時間 | 106分 |
監督 | デヴィッド・ゴードン・グリーン |
出演 | ジェイミー・リー・カーティス ジュディ・グリア アンディ・マティチャック ウィル・パットン アンソニー・マイケル・ホール |
あらすじ
ローリーが仕掛けたバーニングトラップによって焼け死んだと思われたマイケルだったが、鎮火に訪れた消防士11人を皆殺しにし、やすやすと生還を果たす。同じ頃、マイケルの脱走による新たな惨劇の知らせを聞いたハドンフィールドの住人達は、40年前の生存者たちを中心として自警団を結成し、今度こそマイケルの息の根を止めようと躍起になるのだったが……。
感想と評価
やっぱり死んでなかったマイケルが再びハドンフィールドへと現れ、「マイケル憎し!」で色めき立った住人たちとの大激突が勃発するという、現代へとよみがえったスラッシャー映画、新生『ハロウィン』シリーズ3部作の第2弾です。
監督と主演は前作から引き続き、デヴィッド・ゴードン・グリーンとジェイミー・リー・カーティスが務め、オリジナルファンへのうれしいサプライズとして、1978年版『ハロウィン』でリンジー嬢と看護師マリオンを演じた、カイル・リチャーズとナンシー・スティーヴンスが同役で再登場しています。
実はというかやっぱり生きていたブギーマンことマイケル・マイヤーズの家路と、行きがけの駄賃(殺人)によってばら撒かれた恐怖の種により、ハドンフィールドの住人たちの狂気が見事に花開き、狂人どもの血みどろバカ騒ぎが満開となる『ハロウィン』シリーズ第2弾。
前作のラスト、親子三代によるリベンジ劇、「いただきハッピー・ハロウィン」がメチャクチャ決まっていただけに、そりゃもう既定路線だということは重々承知なのですが、「マイケルやっぱり生きてました」でいきなりテンション下がっちゃうのは、続編、しかも3部作の中間作に当たる本作のつらいところですわな。
んでまあそんなマイケルの存在によってハドンフィールドにばら撒かれた、長年にわたる恐怖がある種の狂気を生み出し、なかば暴徒と化した住民たちとマイケルとの激突が本作のメインとなっているのですが、「KILLS」と銘打っているだけあって、死体をゴロゴロ製造することだけに特化した『テリファー』のような内容には、若干の疑問も覚えます。
映画冒頭、やっぱり生きていたマイケルと消防士11人による血みどろバトルは、確かにアガることはアガるものの、その高揚感はホラーというよりかはアクション映画のものでしたし、それと同時にオリジナルに存在したマイケルの殺しの美学、神秘性がいよいよ消え去り、実存的なモンスターと化していたのもおじさん的には不満です。
「マイケル禿げとるがな!」という哀愁も実存感に一役買っておりますが、ローリーとの因縁もなかったこととし、ただ帰宅途中に出会った障害物を排除するだけの存在、その単純さを膨らまして恐怖を倍増させていた我々、という構図もいかがなものなのでしょうか。
恐怖がさらなる恐怖を、悪が悪を、狂気が狂気を生み出し、蔓延していく。
言いたいことは確かにわかるのですが、スラッシャー映画に道徳的説教臭さを持ち込むのにも疑問があり、その描き方からしてなにぶん強引すぎるので、いまいち心にも響いてきません。
いまやホラー映画、スラッシャー映画にも、社会的なテーマやメッセージ性を求められるようになり、それはそれでいいことだとは思うのですが、それに縛られて「真に面白い、怖いホラー映画とはなんなのか?」という方向性がブレて、迷走する作品が出てきているのもまた事実。
3部作の中間に位置するつなぎの作品という難しい役割でもありましたが、出来の良かった1作目に比してやや迷走を始めてしまった、大事な完結編への引きを大幅にゆるめてしまった失敗作、というのが正直な私の感想ですかね。
ローリー?今作のローリーさんはね、終始フランクおじさんと昔話に花を咲かせておりましたよ。
おすすめポイント
DVD&Blu-ray
VOD/動画配信
『ハロウィン KILLS』が配信されているVODはこちら(2022年12月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。
予告編動画
(C)UNIVERSAL STUDIOS